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2007/05/02(水)
さよなら三信ビル
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東京・日比谷にある三信ビルの解体が始まったそうである。解体の経緯については、下記の読売新聞の記事を参照していただくとして、古きよき時代の遺産が、ただ古くなったからといって簡単に壊してしまうのは何とも惜しい。http://www.yomiuri.co.jp/national/culture/news/20070501i406.htm
三信ビルに初めて行ったのは、韓国観光公社に訪れたときだったように記憶している。ソウルオリンピックの前だから昭和62年か63年だろう。韓流ブームなど想像も出来なかった当時、日本人で韓国語を勉強するのは稀な存在だった。しかも血縁者が韓国や北朝鮮にいるわけでもなく、周囲に韓国人がいるわけでもなく学ぼうとするものはかなり稀少で、観光公社ではずいぶん手厚く案内された記憶がある。私の海外旅行の原点でもある。
三信ビルのある日比谷という街は、古きよき東京が感じられる魅力あるところ。浅草などの下町とは対照的な、歴史ある都会という感じ。かつては近くの東宝ツインタワービルに、一時代を築いたディスコ「ラジオシティ」があったし、日本でのタイ料理店の草分けである「チェンマイ」も、現在は開店当初のビルから移転したが、日比谷にある。シャンテの辺りは大人向きの文化的な風が吹いている。
東京へ遊びに行く人は、六本木や丸の内の新しいビルやディズニーランドなどのチャラチャラしたところにばかり行くのではなく、こうした日本の都会の原点のような場所も目に入れておくべきと思う。周囲には帝国ホテルや日生、宝塚劇場など、他に見るべきものも多い。
三信ビルの内外がどんな姿だったかは、三信ビル保存プロジェクトのサイト(http://www.citta-materia.org/sanshin.php)の画像がわかりやすい。77年の歴史ある文化遺産が壊されることより、良識ある庶民が地道に保存活動に尽力し多数の共鳴を得ながらも、それが資本家の決定に抗えず、力ずくであっさりと握りつぶされてしまう現実を目の当たりにする方がずっと空しい気がする。
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