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2006/01/01(日)
明けおめ、持ってけドロボー!SS
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「Augurio! Buonanno!」 ドアが開いた瞬間言ってやったら、エドはきょとんという擬音を着けたくなる顔をした。 「ちゃんと午前零時に去年使ったもん投げたか?」 未だ呆然としてるエドに構わず訊けば、こっちに戻って来始めているのか、漸く言葉を発した。 「此処ではそんなことするのか?」 「さぁ?しないんじゃない」 そう言ったら、ものの見事にクエスチョン・マークが浮かんでるのが見えた。 「ドイツではしないんじゃない?これイタリア式だから」 「イタリア?」 理解しようと努力してるのが手に取る様に解って微笑ましい。 「僕、イタリア育ちだからさ」 「あ、あぁそうか、なるほど・・・」 なんとなく解って来た様だ。 「新年早々引き込もっんな、散歩でも行こうよ」 体に流れている血はともかく、イタリアで育った者としては、やっぱ外に出て、皆で正月が良い。
「お前、強引だな」 エドがうんざりしながら言う。 「良いじゃん、家に引き篭もってたら腐っちまう」 「普段引き篭もってんのお前じゃん」 「気にすんな」 僕は細かいことは気にしないんだ。 「そいやぁ、さっきのお前の言葉で思い出したんだけどさ、お前も此処(ドイツ)の人間じゃないんだよな」 僕がさっき散歩に連れ出した時の言葉だろう。 「あぁ、僕は色々な所で正月を過ごしたことがあるよ」 色々な国の正月を思い出す。 まばらにいる人たちとすれ違ったり、抜かされたりする。 「今思い出したんだけどさ、東の方の国、極東の三ヶ国くらいだったかな?そこに「干支」ってのがあるんだけどさ、十個の太陽の名前の「十干」と、十二種類の動物の名前の「十二支」を合わせて「干支」っていうんだけどさ」 「十個の太陽!?」 初めてこの話を聴いた時の僕と同じ反応だ。 「そう、十個の太陽が日替わりで昇るんだって。 で、「十二支」の方なんだけどさ、毎年その年の十二支、つまり動物がいるんだって」 「へぇ」 解かったのか、そうでないのか曖昧な反応。 「今年は何の動物なんだ?」 思いもしなかった、でもこの話をすれば当然出て来るであろう質問。 「え?ちょっと待って・・・」 僕は計算を始める。あの時があれだったから・・・ すると、むき出しの僕のふくらはぎに柔らかい毛の感触を感じる。その感触の元を確かめる為にふくらはぎに目を向ける。そこには・・・僕の天敵・・・ 「うわあぁっ!」 僕はエドの腕を掴み逃げる。だけどエドがいる為何時もよりも遅い。後ろからアレが追って来る。 「待てよ、逃げたら追って来るぞ!」 「じゃぁどうにかして!!!」 僕の半泣きの懇願を聞きエドが止まる。僕は先の横道に入り、建物の影から覗く。 エドは見事にアレを追い払い、僕の所へと来た。 「お前、苦手なのか?」 「アレだけは駄目なんだ、本当に」 僕は荒い息を整えながら言う。 「そうだ、思い出したよ、今年の動物」 僕が突然そう言えば、エドが何?と訊く。 「犬だ・・・」
お正月SSです、お持ち帰りご自由にどうぞ、まぁようするにフリーです ロビンは犬嫌いです、おいらと一緒 イタリアのお正月についてはARIAに載ってたのをそのまま信じました、もしかしたらヴェネチアだけかもしれませんが、そんなこと知らないもん(爆) 画像はおいらの相棒が犬なんでその画像を・・・ ちなみにおいらは今年の年明けを野良猫と迎えました(爆) 年明け後、初めて会話したのは野良猫です(へたれ)
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