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2009/03/15(日)
突然ですが、ポケモンで死ネタです(ライバル→♂主)
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ジュンは目の前の現実に愕然とした、むしろ信じられなかった。 腕の中で瞳を閉じるコウキの顔は、幼い頃から幾度も見て来た穏やかな寝顔。しかし、腹部に空く穴と、温みの抜けた体が、もうコウキは起きないのだということを示していた。 ふと、髪が引っ張られる感覚に、ジュンが顔を上げると、自分のムックホークが「何時までそうしているのだ」と問う様に見詰めていた。 「そ、そうだな、送ってやらないと……」 まだ呆然とした顔で言うと、離れないと言う様にしっかり服にしがみついたチリーンごと、コウキをしっかりと抱き抱えると、ムックホークの背に乗った。 ジュンは、霧の出た、不思議な地形にある、最近見つけた4つ目の湖に降り立つ。死者を弔う「おくりのいずみ」だ。 その畔で、コウキをそっと降ろすと、まずリュックを外してやる。次に腰のボールからポケモンを全て出す。出て来た5匹はチリーンと同じく、人間のジュンから見ても解るほど悲しみに濡れた目で、永久の眠りに着いた主人を見詰めた。 ジュンはおもむろに自分の腰のボールからフローゼルを出すと、湖の中央まで連れて行く様頼もうとする。しかし、もう1匹のフローゼルが視界に入り、それを改めた。 「お前に連れてってもらおうかな」 コウキのフローゼルは、こくんと頷くと、「なみのり」の準備をする。フローゼルには解っていた、これが主人を乗せての最後の「なみのり」だと。 ゆっくりと、ジュンとコウキを乗せたフローゼルが、霧の中を漕ぎ出す。別れを惜しんだコウキのチリーンやムックホークが沖まで着いて来る。 真ん中辺りで、フローゼルがゆっくり止る。送る時だ。ジュンは、そっとコウキの頬に触れる。 「……守りたかったんだけどな」 それは昔から思っていたこと。大好きなコウキを守りたい。守れる様に強くなりたいと、そう思い続けて来た。しかし現実はどうだ。守りたいと思ってたコウキに負け続け、結末がこれだ。悲劇にも喜劇にもなりはしない。 「ごめん、コウキ」 穏やかなコウキの顔にのみ、極地的に春雨が降る。チリーンがそっと肩に触れる。もう送らなければ。 そっと、コウキを水上に降ろす。そのままおもむろに手を離すと、コウキの体はゆっくりと湖の底へと吸い込まれて行った。
―ごめんなさい、さようなら、愛しい人。
日記なのでデフォルト名 画像は、初代151匹を全部上げる無意味チャレンジの跡 最後のパラス・パラセクトはカンニング
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