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2005/05/23(月)
金髪の草原
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社会に出ると、こちらが何もしなくても向こうから色々やってくるものですね。 折角忙しくなってきたっていうのに、仕事なくならないといいけどな…
こんな状況に合ってる様な合ってない様な、『金髪の草原』という映画を見ました。 心臓病を患う80歳のおじいさんが、ある朝20歳の青年として目を覚まし、 彼の元にやって来た、憧れのマドンナそっくりのヘルパーの少女に恋をした…という話で 大島弓子の同名コミックを映画化したロマンチックファンタジーとのことです(解説ほぼそのまま)
以下ネタバレを含むので御注意ください。 今回は色々な映画のネタバレもしているので特にお気をつけ下さい↓
私はあらすじを読んだ時点では、おじいさんは誰から見ても若い姿に変身したような感じになったんだろうと思ってたんですが、 おじいさん自身がそう思うようになっただけで、周りの人から見たら普通におじいさんなんですね… 映画の中でのおじいさんの役は、おじいさんが自分で思っている通りの若い俳優さんが演じているんですが、 それが逆に実際のおじいさんが他の人から見て異常に映っているんだろうな、という事想像させて何とも切なくなりました。
金髪の草原の中、船が来て、空を飛ぶというのはそこが夢の中だという証明であって おじいさんが空を飛べずにそのまま墜落していった事は、 おじいさんやヘルパーの少女、隣の家の少女など全ての人にとって嫌な現実を現実として受け止めなければならなくなった瞬間だったんだろうな、と思いました。 隣の家の女の子が屋根の上に登ったおじいさんを見て、アイスキャンディーを舐めながら、とても怖い目つきで「飛べ」と言っていたのが印象的でした。
最近見た『落下する夕方』でも思ったのですが、 こういう物事がはっきりする直前の、あと一歩を動きたくない中途半端な状態は みんなもやもやしているのに、何でこんなに幸せそうで、美しい風景に例えられる程のものなんだろうなと思いました。 そしてその状態が終わりを告げるのが、その悪い状況を作り出した、かけがえのない人がいなくなる時なのも同じです。
それにしても、少女漫画の原作でロマンチックファンタジーを名のっている話なのにこんな生々しい終わり方するんだから驚きます。 同じ老人の痴呆の状態を扱った『きみに読む物語』が、記憶を取り戻した妻と夫が一緒に死んでいくというのに比べてこのリアルさ。 でも私はこんな邦画が大好きです。
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