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2005/01/02(日)
捨て猫
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数ヶ月前、家の近所で黒い小さな野良猫が鳴いていた。 げっそり痩せて骨張っていた。 首輪付きだ。 で、そいつはどうも目が見えないらしい。 人間の気配を察知するや、寄ってきては助けを求めるかのごとく ニャーニャーと足下にしがみついて鳴く。
その猫を可愛そうに思った人が他にもいたみたいで、 そいつの近くに、紙皿に猫の餌が山盛りになって置かれていた。 いや、ひょっとして病気の猫を路上に棄てた飼い主の、せめてもの餞別なのか?
ともあれ、盲目の猫が路の真ん中で鳴いている状況はいただけない。 なんとか連れ帰りたいが、うちにも猫がいる。 神経質な奴だから、他の猫との同居は不可能。 おまけに外の猫が持っている病気も心配だ。 どうすべきか?
悩んだ末、今度見かけたら動物病院に連れて行こうと思い、 断腸の思いでその場を去ろうとした時、 若い男がその猫の鳴き声に足を止めて、心配そうになではじめた。 「頼む、お前が飼ってやってくれ…」 そう思った。
で、昨日。 その場所の電柱に、あの猫の写真が貼られていた。 飼い主を捜すための張り紙である。 パソコンで作られていて、雨風に耐えられるようにラミネート してある。 その張り紙の内容からするに、あの猫は病院に連れて行かれ 色々面倒をみてもらったようだ。 だが視力障害は残っているらしい。
よかった。あの若い男なのか? ともあれ、よかった。 棄てる神あれば、拾う神ありだ。
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