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2005/09/03(土)
という訳で
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「ランド・オブ・ザ・デッド」を観てきた。 途中、自分が一体何の映画を見せられているのか、分からなくなった。
近未来SFとしては、あまりにもストレートすぎる展開。「世界が燃え尽きる日」のランドマスターみたいな武装装甲車デッド〜号も小道具として消化不良。 ゾンビ映画として観れば、知恵をつけたゾンビがどんどん人間のテリトリーに侵食してくる展開で面白くなりそうだが、特に何がある訳でもなく、最終的には「死霊のえじき」の拡大再生産でガブガブガブ、みたいな。
「ナイト〜」「ゾンビ」とそのテーマ性が高く評価されたロメロ監督だけに「えじき」もそうだったが、何かを隠喩しなければ!的な肩への力の入り具合が感じられた。 で、どんどんストレートなホラー映画から道をはずし、最終的には“ゾンビが登場するジャンル不明映画”になってしまうのだ。 「ランド〜」はとことん「えじき」直系の作品だなぁと。
個人的には、なんだかんだ言っても、ただ単に“ゾンビは凶暴で速い方が怖いぞ!”という事だけを力技で描ききった「ドーン・オブ・ザ・デッド」に比べると、映画として純粋さに欠ける分、 明らかに弱い感じがした。
で、今回思ったのは私って、ゾンビ映画が好きなのではなく、「ゾンビ」(78)が好きなんだな、と。 「ナイト〜」の元ネタにもなったゾンビものの始祖的存在、「地球最後の男」(小説)はアブノーマルだらけの世界で只1人生き残ったノーマルな男の物語で、抜群に面白い。 一方の「ナイト〜」は「地球最後〜」からシチュエーションこそ借りたものの、主人公達を包囲する動く死体たちは化け物や宇宙生物に置き換え可能な存在。そこにはノーマルとアブノーマルの関係はなかった。 ところが「ゾンビ」は、顔を青く塗っただけの死体が、ショッピングセンターをうろうろする中、主人公達が、サバイバルを繰り広げる展開。 ここには確実に「地球最後の男」的な要素があるのだ。
アブノーマルが溢れる中、主人公たちだけがノーマルという情況は、観客にも優越感を与えるし、だからこそ、カタルシスも生まれる。ついでにその情況が崩れやしないか?といったサスペンスも生まれる。 「ゾンビ」が映画として楽しく、ファンも多いのは、そこに一つ大きな理由があるように思える。 そして、顔を青白く縫っただけの死体の脳天を、スコープに捉えて吹き飛ばす不謹慎なカタルシス。ロメロのドキュメント風演出と、サビーニのリアル弾着が、そのテーマをより際立たせていた。 メイクして作り込みすぎた厚化粧ゾンビは単なる怪物だ。同じ脳天を吹き飛ばすなら、顔を青白く塗っただけのゾンビの方がより映画的で衝撃的なのだ! だから頼む、誰か、青塗りゾンビ映画を現代に復活させてくれ!
以上、ゾンビ好きのタワゴトという事で。 「ランド〜」はまたパッケージ化になった時に再見して、その魅力を発見したいと思う次第。
余談なれど、今から20年前。 「マッドマックス・サンダードーム」が公開され、その何ともいえぬ内容に唖然とした。 翌年、「死霊のえじき」日本公開。意気揚々と劇場に向い、微妙な心境で帰ってきた。 あの2連チャンは当時、かなりキツかった。 大好きな「ゾンビ」「マッドマックス」が、共にお世辞にも成功とは言えぬ三作目を送り出してきたのだ。 で、めげずにその後、色々なメディアで両方とも何回も観た。 何度観ても、正直、それほど映画としては面白くない。 次こそは、次こそは…と思うのだが、やっぱり面白くない。良い所はあるんだが…。 でもまあ、愛があるから何度も観れる訳で、「ランド〜」もそんな心の映画になってくれればいいのだが。
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