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2006/04/16(日)
売り切れ
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この世に正義は?
そんなモンモンとした気分をぶっ飛ばすために 「仮面ライダー THE FIRST」のDVDを買いに出かけましたが、近所のツタヤはとっくに売り切れでした。
で、数年ぶりにツタヤの店内を徘徊。 私め、実はレンタル業界に足を突っ込んで約20年なのです。
黎明期にはじまり、出店ラッシュ時代、大型&複合化時代の到来、DVDへの移行と淘汰、そんな業界の荒波にもまれてまいりました。
驚いた事に、そのお店は店内分類を独自のものにしていました。 分類のインデックスカードはパソコンによる手作りです。 本部ツールを使うのが当然なツタヤなのに、これはアリなのか?時代は変わったもんだ、とびっくりです。 といっても、ツタヤを見るのは実に久しぶりだったので、数年前からこの流れがあったのかも知れませんが。
私の見てきた多くのツタヤは、実にざっくりした分類でした。 俳優や監督といった人名分類はやらず、基本はジャンル分けです。 アクションとかサスペンスとかコメディとか、まあそんな感じ。 ところがこのお店は、それをやめて、細かく分類しようと心がけているのです。私の経験からはあり得ない光景でした。
私が現場現役の頃は対ツタヤという立場で動いていたので、在庫も古いカタログタイトルを意識的に増強し、ちょっとマニアック寄りで啓蒙的要素のある棚分類を色々なお店に導入して、差別化を計る方針を守りました。
ですが、結果が出る時、出ない時があります。 いくら映画の素晴らしさをお客様に伝えるのだ!と崇高な理念をぶち上げたところで、立地が勝敗を左右する部分は大きいです。 何をやってもダメな時はほんとにダメでした。
一方で、ちゃんと古い作品を揃え、色々とお客様に投げ掛けを行っていた中で、多くの見返りもありました。 そういう時は本当に自分の仕事に誇りが持てました。
ところが、そういうちょっと凝った品揃えや分類をやっていると、必ず一定周期でスタッフ側からこういう意見が出てきます。
「マニア向けは辞めて、ツタヤさんみたいな棚構成にしてよ」と。
売上の厳しい個人店やローカルチェーンのスタッフには、ツタヤへの激しいコンプレックスがあったりします。が故に、同じ感じにしてみたいと言い出す人は多かったのです。 ツタヤがダメという事ではなく、同じことをくたびれた小型店でやってどうすんのよ?とね…。
万人を納得させる棚分類なぞ存在しない事は分かっていましたが、他人の芝が青く見えているだけの方々にはウンザリでした。
ところが、今になって目の前のツタヤのフランチャイズ店が、自分たちがかつて通った道(ずいぶ〜んと昔のレベルですが)を歩んでいる訳です。 手作り感覚満載なところも、昔の自分を思い出させます。
いや、もうレンタル業界は曲がり角なのです。 とっくに利益率の高いウハウハな商売ではなくなり、DVD入れ替えに伴う仕入れ増大、アダルト売上の激減により、淘汰が行われている真っ最中なのです。
競合チェーンも力を増し、いよいよ今までの方法論は通じないと判断したのでしょうか?
とにかく、感慨深い光景だったのです。
で、かつての敵チェーンに属するお店ではありますが「がんばれよ」と心の中でエールを送り、立ち去ったのでした。 でも、ニューシネマコーナーに「エクソシスト」は置かないでね、と。
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