サンダーボルトマーケット店主日記
サンダーボルトマーケットは引越しました(2008.9.10)
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2007/08/26(日) トランスフォーマーって…
トランスフォーマーをようやく見て参りました。

とにかくマイケル・ベイという監督の恐ろしさを思い知りました。
もう、それに尽きるかなと。
以下ネタバレ含みます。

■このお話はダメ少年が宇宙規模の一大事に巻き込まれて、結果的に世界を救う、みたいなストーリー。脚本段階ではロボット生命体たちと主人公の成長をバランスよく描いた、青春SFコメディの佳作になる可能性は秘めていたと思います。

■ところが監督は残念ながらベイ。あの笑えないバディムービー「バッドボーイズ」の監督ですので、無理なものは無理なのです。

■ネタ振りのカット&そのリアクションカットというものがまともに撮れないベイは、劇中数十回にも渡ってギャグシーンを外します。
ポルシェのディーラーの前を通り過ぎる親父と息子のやりとりや、映画のパロディ台詞、ロボットたちが主人公宅で繰り広げる隠れんぼ等、普通の監督が撮れば普通に笑えるシーンがことどとくダダすべり。いや、これはなかなかできる事ではありません。

■コメディシーンのみならず、基本、ベイはまともに物事を描く事ができません。人間ドラマしかり、アクションシーンしかり。

■砂漠の町での戦闘シーンでは、サソリロボがどう攻めてきていて、軍人さんたちがどういう配置で防戦しているのかさっぱり分からず、途中空からの引きの絵が一発入って、ようやくなんとなくの位置関係が掴めるという体たらく。
クライマックスの市街戦も同様で、とにかくベイは敵と味方の手に汗握る攻防を描いているのはなく、“激戦のイメージカット”のモンタージュをやっているに過ぎない訳です。

■ロボットに変形したバンブルビーと初遭遇する主人公の件。
ロボット形態を見て主人公が腰を抜かすような重要な部分はスルーし、いきなり鎖をちぎった犬が主人公に襲いかかる訳のわからんシチュエーションが展開されます。こっちはドラマの進展が見たいのに、主人公が犬に襲われるサスペンスシーンなんていらない訳です。ほんと落ち着きがない子ですねベイくんは。

■バンブルビーをレッカー車にくくりつけ、砲台扱いするヒロイン。バンブルビー本人のリアクションがないもんだから、ヒロインは冷酷なビッチだし、バンブルビーは人間の命令に愚直に従う戦闘メカ。このシーン、燃えと笑いが混在するいいシーンにもなったろうに、結局、破壊だけの即物的シーンと化しておりました。

■という訳で、この映画、全編こんな調子で、実体がない、魂もない、描くべき事を描かないという、ないないづくしで、イメージばかりの予告編みたいな内容でした。にしちゃ長いっす2時間半。

■で、肝心のCGロボバトル。派手は派手なんですが、やっぱり何をやってるか良く分からない。“激しいロボットバトルのイメージ“なんだなぁ…とは理解できますが。

■つーか、どこが腕でどこか頭かもじっくり見ないと分からないシルエットのロボットが、素早いスピードで複数体入り乱れて戦う訳です。そこでカットをブチブチに切って、リドリー&トニー・スコット兄弟みたいな絵で見せるって、どんだけTPO分かってないんだよ?と疑問には感じます。

■とはいえ、アメリカでは大ヒットですし、日本でもネットで評をググってみると、概ね好評のように見受けられます。この作品、映画の文法や作法には許しがたい不手際がありますが、見せ物としてはある程度、成立していたという証拠です。

■唯一の問題は、またもマイケル・ベイがヒットを飛ばしてしまったという事。しかもかつてない性質の悪い演出スタイルで。ベイの映画というのは、見せる必要のないものを延々見せ、編集=省略の醍醐味をスルーし、語るべき事を語りません。そんなものがメガヒットを飛ばしている現状というのは、とにかく不吉でならない訳です。

■昨夜、映画を見終わった後、まず頭に浮かんだのは小説「フリッカー、あるいは映画の魔」のラストでした。あの“映画の死”を予感させる結末は、まさにマイケル・ベイの台頭とかぶるのです。

■今、映画史100余年。50年後に映画がどんなものに変容しているのか、想像つきませんが、ベイの映画がマシに見えるような更に強烈なモノが産み出されているのでしょうか?恐ろしや、恐ろしや…。


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