サンダーボルトマーケット店主日記
サンダーボルトマーケットは引越しました(2008.9.10)
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2007/08/27(月) つづき
今日は車で浅草までレザー用の部材の買い出し。
片道1時間以上もかかるので、ついつい頭の中でトランスフォーマー=マイケル・ベイの事がぐるぐると…。

という訳で先の続きを。

劇場でトランスフォーマーを観た後、色々と考えたのですが、じゃあ昔の大ヒット映画にももっとヒドイものがあるじゃないか?
マイケル・ベイのみをそんなに特別に批判するのはおかしいんじゃないか?と自分に疑問符を投げかけてみました。

よし、じゃああれを久々に通して観てみるか。
と棚から取り出したのが、チャック・ノリス主演の全米大ヒットアクション大作「地獄のコマンド」(85)。もう20年以上前の映画なのね。

この作品を製作したのは80年代に飛ぶ鳥を落とす勢いでヒット映画やらゴミ映画を作りまくった悪名高きキャノングループ。

キャノングループはショー・コスギの低予算忍者映画などから徐々に勢力を拡大。チャック・ノリスやスタローン、ブロンソンらと契約を結び、脳タリンなアクション映画を次々と世に贈り出しました。

当時から既に「キャノンの映画は映画じゃない」と一部良識ある映画ファンは憤慨していましたが、他方でその無茶苦茶な作風にある種の魅力を感じる動きも一部ありました。
ゲテもの好きのタランティーノがスタローンの「コブラ」を好きなのは有名な話です。

で、「地獄のコマンド」です。

アメリカ全土に散ったテロ集団が各地で同時多発テロをやらかし、アメリカは大混乱に。テロのボス、ロストフの仇敵である元特殊部隊員マット・ハンターが、未だかつて侵略にさらされた歴史のないアメリカを救うために、(事実上)単身立ち向かうストーリー。ある意味9.11を予見した部分があr…いや嘘です。

テロの現場にことごとく先回りするハンターが、悪党共を両肩から吊った2挺マイクロUZIで蹴散らしてゆくという見せ場が連続し、最後はハンターを襲うべく一個所に集結したテロ集団vs米戦車軍団の一大バトルが展開されます。

全盛期のキャノンを代表する馬鹿の極みのような脚本で、真面目に観ると「アリエネー!」の連続です。

演出面でも主人公が移動するシーンを御丁寧に延々と撮ってみたり、とにかく無駄が多く、ダルい部分が目立ちます。ただ、これはあまりにも脚本がスカスカで、キャラクター造型もへったくれもないお話なので、演出的には時間稼ぎの意味合いがあったのかもしれません。

でまあ、見終わって相当にヒドイ映画である事は再確認したのですが、やはり愛おしい部分が多いなぁと…。

第一にスネーク・プリスケンのスコープ付きイングラムよりは幾分必然性が感じられる2挺マイクロUZIの掃射シーンが素敵。
至近距離で悪党を射殺するシーンの血煙が実にいい。

第二にテロ現場にことごとく先回りして、悪の計画を粉砕する主人公が見せてくれる馬鹿馬鹿しさ。これには理屈もへったくれもありません。とにかく主人公は悪事の現場に現れ、キメ台詞を放ち、敵を射殺または爆殺します。これが妙な漫画的カタルシスを生んでいます。

第三にアクションの派手さ。こんなゲテモノ映画なのに無駄に予算がかかっており、デパートの1フロアをセットで作り、車で走り回って破壊しまくります。
ラストに至っては、市街地で無茶苦茶なフォーメーションを組んだ戦車軍団&米兵がテロリストに向って銃を乱射するシーンがありまして、その物量たるやもう絶句です。

第四に気の毒になるくらい弱っちい悪役ロストフが神出鬼没&無敵のチャック・ノリスにいたぶられるラスト。ここは後のセガール映画を先駆けており、ついでに言うなら、クライマックスのバズーカ&グレネードのタイマンバトルも、後のモリマンvs山崎を思わせる部分があり笑えます。

第五にスコアの素晴らしさ。ジェイ・チャタウェイによる血湧き肉躍るアクションスコアはB級アクションの映画音楽としては及第点以上の出来。後のキャノン映画で流用されただけでなく、香港映画「ロボフォース/鉄鋼無敵マリア」で勝手に使われたり、「機動戦士ガンダム0083」でそのまんまパクられた経緯もあり(これは洒落にならんすよ)、やはりいい音楽だったという事が証明されております。

おっと、5つも見どころが!
私、気がつけば「地獄のコマンド」を熱く語っておりましたね。

で、そろそろ今日の結論に。

80年代映画史を俯瞰視してみると、ハリウッド映画を白痴化させたキャノンってのは相当に罪が深いと思うのですが、少なくとも「地獄のコマンド」という映画はオリジナリティの塊でした。良い意味でも悪い意味でも。

サンプリング映像しか作れないマイケル・ベイに比べりゃ、脚本がゴミレベルではあるにせ、まだ幾分かはマシに見えてしまいました。

20年くらい経って「トランスフォーマー」という映画がその時代の好事家に愛されていれば、まあそれはそれでいいのですが、最近の映画の例にもれず、数年で風化しそうな気はします。

つーか、私のベイに対する嫌悪感ってのは、映画なんて所詮一瞬の消費物でしょ?と言わんばかりの適当な姿勢を感じてしまうからかも知れません。

あらゆるシーンが何かの劣化コピー、サンプリングな訳でして、ひょっとするとベイの映画ってのは、PODキャストやPSPでのながら観には適しているかもしれません。

音楽に例えるならアナログ音源に対するMP3?
いや、YOUTUBEから強引にダウンロードしたPVから音声を抜き取り、MP3に変換した劣化&ノイズ入りまくり音楽ファイルですね。


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