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2009/08/21(金)
久々に
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本日、自転車で行ける距離の小さな映画館へ。 ここはプログラム的にまったく私と接点がなく、まずは滅多に行かない小屋。 どういう風の吹き回しか、見そびれて後悔していた「レスラー」をこっそり夕方上映していたので、迷わずGOでした。
三沢選手の逝去と公開タイミングが重なり、観ると切なくなるともっぱらの噂でしたが、なるほどって感じ。
セクシー男優として一時代を築いた(という程でもないか)ミッキー・ロークと、主人公である80年代でその全盛期を終えた元スターレスラー、ランディのシンクロっぷりが凄まじい。
手持ちカメラのザラついた映像のおかげもあって、前半などはもう実在のレスラーの日常を追ったドキュメントだと錯覚してしまいそうになります。 トレーラーだと普通のドラマ映画っぽいんですがね。
http://www.youtube.com/watch?v=Takm6ydsMA8&feature=related
以下はネタバレなので、DVD出たら観ようと思っている方はスルーしてください。
で、確かに世間的に高評価なのはうなずけるのですが、色々と引っ掛かるのも正直なところ。
結局、このランディという落ちぶれ男は、体がとうに限界を迎えていても観客の待つリングの上でしか生きられない。ラストのトップロープからのダイブにそれを集約させたところがちょっとニューシネマ的で、懐かしい感じ。 おそらく多くの観客にとって、一生忘れる事ができないラストなのではないでしょうか。
しかしそこへ行くまでの人間ドラマが、どうにもドラマチックすぎて、ドキュメント風味の前半に対して強烈な違和感を感じさせるのです。
いや、不器用なのは分かるし、共感もできる。 でもマリサ・トメイみたいなイイ女に好意を寄せてもらって、それでも「自分これしかできません」って死が待つかもしれないリングへ向う主人公には、ちょいと感情移入しかねる。
むしろ、そういう“滅びの美学的エンディング”を越えたものを期待したんですが、無難なところに作品が着陸したので、残念だったのです。これは贅沢な要求なんでしょうかね?
ってゆうか、うらぶれた中年ストリッパーを演じるマリサ・トメイが演技・ルックス的あまりにも素晴らしすぎて、むしろミスキャスト。「ロッキー」1作目で言うならエイドリアン=タリア・シャイアくらいのルックスの女優さんを使うべきだと思う訳です。
落ちぶれてプロレスファン以外誰も振り向かない元スターレスターに好意を寄せてくれる中年ストリッパーが、四十半ばであのルックス・スタイルを保っているマリサ・トメイでは、色々と理想的すぎて、ファンタジーがすぎるなぁ、みたいな。
だからラストに少々合点がいかないのです。 「おまえ、贅沢」みたいなw
あと、娘との唐突な和解から再びの関係崩壊は、展開として作りものっぽすぎて、ちょっと納得できないでしょう。
などと文句を並べながらも、実に見応えがあり、ミッキー・ロークもレスラーっぷりも板についていて、観て損はない密度の濃い作品でありました。これで80'Sヘビメタに思い入れがあれば、もっと楽しめたのでしょう。そこがちょっと残念。
「90年代は最低」→名台詞ですね。
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