from New York
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2002/04/10(水) クラシックのはなし。
今日はクラシックのおはなしを二つ。 4/10/02

 たったいまカーネギー・ホールでわが国が誇る小澤征爾とチェロの巨匠ロストロポービッチのコンサートを聴いてきたところです。ロストロポービッチの75歳の誕生日のお祝いを兼ねたコンサートだったので最後に「ハッピー・バースデー」もオーケストラが演奏したりして楽しかったです。スティーブン・スピルバーグの映画でもお馴染みのジョン・ウィリアムスがオザワに捧げた「セイジ!」で幕開けでした。運良く一番前の席だったのでオザワ氏をすぐそばで見ることができた。「うわーこの人かー」思ったより小柄だったけどマエストロ独特の気迫を感じた。はじめに出てきた音からオーケストラがふわっと音が揃っててスゴイ。

 2曲目にロストロポービッチ登場。若々しい!これが第一印象。肌つやもいいし、元気そう。ERIC TANGUYというフランス生まれの若手作曲家のニューヨーク初演のチェロコンチェルト。とらえどころのないような所もあったけど、よく聴いているとなんか日本の旋法のようなモードを使っているようだった。箏のような響きもした。気持ちよくって眠くなっちゃった。でもふしぎなことにテンポのよい終楽章で「ディバダバ・ドュバダバ・ディ」みたいにロストロポービッチがスイングしてるみたいに聞えちゃった。(私って病気かしら。)

 休憩では後半のドボルザークに備えてカフェでコーヒーを飲みに行く。あれ、どっかで見たような顔。そうだオザワの甥っ子の歌手だ。名前忘れた。
 目が覚めてきた頃に本日の目玉「ドボルザークのコンチェルトin B minor op.104」が始まった。スラブの民謡っぽさとアメリカのスピリチュアルが合わさった哀愁漂う曲。ロストロポービッチのなんと美しい歌いかた。とくにpianoで(ソフトに)歌うところが泣けた。大きな音で圧倒させるよりもっともっと難しいし、心にしみいる感じがした。ベテランの味わいですね。終わったら聴衆は総立ち。オザワ氏も涙ぐんでいるように見えた。

 

 3日前に音大の篠井寧子先生門下の後輩にあたる鈴木賀子(のりこ)さんのコンサートへ行ってきました(写真1枚目)。
昨年のカーネギー小ホールでのニューヨーク・デビューに続いて今年はマーキン・コンサートホールでありました。彼女は国立音大卒業後、マンハッタン・スクール・オブ・ミュージックの大学院を卒業。
Soulima and Francoise Stravinsky ニュー・ミレニアム・コンペティション2位という経歴の持ち主。プログラムは、ラモー(1683-1764)からはじまって、ベートーベンの「熱情」、ショパンの「アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ」、カバレフスキー(1904-1987)、そして彼女の国立音高時代の同級生中野こうじ君(写真2枚目)の曲「フローズン・クリスタル」まで、とても幅広い年代のレパートリーを堂々とダイナミックに弾きこなしていました。

 賀子さんは音楽の持っていき方がかっこいい。すごいなぁ、あんなにたくさん難しい大曲を弾くなんて。私なんて体ボロボロになりそう。ラモーが私にとって新鮮で、この日一番気に入りました。「武満徹のような「間」がところどころちりばめられ、中野君の作品もピアノの「クリスタルな響き」が素敵でした。」

 レセプションでは賀子さんの妹さんのお抹茶のお手前もありました。アメリカ人もとっても喜んでました。
ジャパニーズ・ビューティフル!

2002/04/08(月) FROM NY
ニューヨークには様々なお仕事や目的を持った日本人がたくさん住んでいます。
私の所にも銀行マン、お役人、お医者さん、ヘアスタイリスト、駐在員の妻等, 個性豊かな人達がピアノを習いに来てくれます。乾いた都会のなかで、しかも異国で暮らしているとストレスも溜まります。
そんななかで自分の仕事を終え、アパートに帰ってピアノに向かう。素敵なことですよね。
今日ご紹介するのは、そんな生徒さんのなかから、かの宇田多ヒカルちゃんも通ったコロンビア大学医学部で遺伝子研究をなさっているT先生のリポートです。
グレン・グールドをめざして日夜ピアノのおけいこもがんばっているようです。
(いえ、がんばってほしい?) (由) 

 

ニューヨークの臍?
ここに居着いて、はや10年。 初の海外渡航であった。
こんなに長くなるとは、思わなかった。1993年、人種差別への抵抗が激しい時期にやってきた。
西も東も分からず、ついでに英語も分からないのに、妙にニューヨークの街の雰囲気が気に入った。
数字で区画された、番地。 堅い歩道。
見るもの全てを、大きく重く感じたあの頃。
日本には、既に愛想を尽かし、新天地を求めていた。
 慣れきった環境を離れ、自分の力でどこまでできるのか?遅い、挑戦であった。
 
 乾いた空気。
一年を通じて低い湿度は、ピアノの音が鳴るには適しているのであろう。
 が、高温多湿の日本からの人間には、喉が渇き、鼻粘膜が疼くのであった。
水は、不味い。
喉の渇きをいやすため、コーラをがぶ飲みし、太った、、。
何より、街中の公共施設にトイレが少ないのに、面食らった。
個室であるトイレは、犯罪の温床になるのである。
地下鉄のトイレが閉鎖されてから、久しかった。
 ニューヨークのガイドブックには、市内中心地のトイレ地図が載っていた。不覚にも、ズボンの前を押さえ、日本食レストランにお世話になったことが、何度あったか?
 
 住む人は、能弁である。
通勤の地下鉄の中では、ホームレスが堂々と、物乞いの演説をしている。
 「働いた方が、いいんでない?」と言いたいのだが、生憎言葉がしゃべれない。
 職場では、白人の上司、同僚が、廊下で立ったまま、延々と議論を続ける。
 疲れないのか?
 無駄な時間と、思わないのか?
 狩猟民族の特性であろうか?
 自分には理解できない、性質である。
そして、わたしは5年後には、無口な日本人の男になっていた。
そんなこんなで、疲れる。週末には、身体がボロボロである。
緑が恋しい。精神の均衡を保つため、美術館に行く。

 メトロポリタンには、それこそ日本では国宝級の西洋美術品が、剥きだしのまま展示されている。その度量に圧倒される。また、建物の広さも圧倒的である。歩いても、歩いても、展示は続く。言い忘れました、ニューヨークではビルの中は全館空調です。
 暑い夏でも、一時間で身体は冷え切り、お腹の具合が悪くなる。ここでも、疲れてしまうのであった。とにかくギラギラ照りつける太陽を求めて、屋外へ。安全そうなロックフェラーセンター広場に避難する。
 ここは、観光のメッカ。
おのぼりさんが、辿り着く終着駅である。自分も、おのぼりさんと化して、楽しむ。何度見ても、この黄金の人形(?)には、なじめない。ロックフェラーさん、これはちょっと悪趣味でない?
 でも、意外なことに、この広場には川が流れ、蟹が生息してたりする。さらに、辺りのビルの壁面に、洒落たモチーフが彫刻して あったりもする。
 ちっ、かなわねえなあ〜、とつくづく感じる。
 アメリカ、余裕あるなあ〜、と思う。
 アメリカ人、体力すんげえ〜。
 こんな国相手に、何故に我が母国は第2時世界大戦を起こしたのか?
 戦略は、恐らく無かったであろう、、。
 打ちのめされても、季節は容赦なく巡る。
 
 冬になる。寒い。零下20度の生活。
北国生まれの自分には、割と好きな季節だったりして、。
その寒さの中、ホームレスの方々は、毛布にくるまり戸外で寝てる。これに、度肝を抜かれる。アメリカ人、半端じゃねえや。
 色彩が無くなり、張りつめた空気が街になじんだ頃、それはやってくる。毎年、アメリカのどこか田舎の森から、原木を切り出すのだそうである。
 前年よりちょっとだけ背の高いモミの木を切り出し、「今年は、これまでで最高の高さを誇る」と威張っている。
 高層ビルに囲まれたロックフェラー=センターのクリスマスツリー。
もはや、あまりに有名になりすぎた。だけど、実物を見たことある?色数は3色に決まっているらしい。地味な、柔らかい色である。アメリカらしくない、といつも思う。
 
 自分は、人混みを避け、クリスマスが過ぎ、正月を待つ期間 に見物することが多い。
 「今年も色々あったなあ〜」と、内省的になる。
 何故か、このイルミネーションは人をして、安らぎをもたら すのである。
 「アメリカ人、しつこい。」
 辟易させられる普段の生活の恨みも、ツリーを見ていると、 奇麗に洗い流される。
 「全て、許そう。」
 必ず、そう思ってしまう。

最後まで、アメリカにやられっぱなし、なのでありました。


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