稽古場日記
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2004/02/22(日) 2月の蝿とり紙/桃色咲希
昨日は快晴だったのに、今日は嵐だった。
座長は「うむ、今日の風は“春二番”ね。」と、言っていた。
でもそんな悠長な事は言って居られなくて、
ラヂカセを車から出すのにも一苦労した。
髪を振り乱し、「あな危なし。ラヂカセが濡れるヨ!」
と叫びながらの出し入れは、さながら“丑の刻参りの女”のようであった。

そしてスタヂオの中には蝿が5匹、だるそうに飛び回っていた。
彼等の反応は鈍いものの、“フライ”なだけに、捕まりそうになると飛んで逃げる。
カーテンと窓の間にそのうちの2匹を閉じ込め、御満悦の座長。
つられてワタシ達にもその朗らかな空気が伝染し、その2匹の蝿の
ゆく末を按じた。
この蝿達がもしこのまま此処に閉じ込められたままだったら、
来週ワタシ達が来る頃には死んでいるだろう。
「この蝿も、もしかしたら吉野スタヂオの“舞台の幽霊”の一部になるのかもしれないな。」
(今日、山南さんは“舞台の魔物”とは言わずに“舞台の幽霊”と言っていた)

チラシも完成し、ワタシの内燃機関はフル回転だ。
燃えている。


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