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2011/10/23(日)
小さな車掌さんありがとう
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日常の生活へと戻り、旅行に行っていたのははるか前のような気分…。ああ、またどっかへ行きたいなあ(←現実逃避)。
前回書ききれなかったすごいローカル線というのは、島根県の江津(ごうつ)と広島県の三次(みよし)を結ぶ、三江(さんこう)線という路線。江の川という大きな川に沿って、素っ気無い1両の小さなディーゼルカーが、ひたすら低速でとろとろと走ります。地元の乗客は数えるほど。大半は老若男性(女性は無し)の同業者(=マニア)と思しき人たちばかり。
前の席に座っている男性は、地元客らしい年配の女性と話しています。子どもが3人いて、今日は奥さんにも内緒で列車に乗りにきた…とのこと。 自分みたいに、常日頃から一人でぷらぷらと生きていると、もしかして本当の一人旅の有難さはわからないのかも知れないなあ…と話を聞き(盗み聞き?)ながら考えてしまう。この男性、しゃべりも上手で、おばあさんは「口が上手やわ〜」と喜んでいます。 おばあさんが途中で下車すると、残ったのはいよいよ同業者(たぶん)ばかりに。車輪とエンジンの音だけが響き、車内は倦怠感が漂います。全線の乗車時間は3時間超、マニアにとってもなかなか厳しい行程です。
すると、運転席横にかぶりついていた小さな男の子が、トコトコと一番後ろまで走ってきました。そして、最後尾にデジカメ持って張りついていた男性に「お兄さん、どうして一番前じゃなくて一番後ろにいるんですか?」と質問。 何の迷いも無く、純粋な質問に、お兄さんも「えっ、うーん…一番前だと邪魔になるから…」と必死に答えていました。 この男の子、途中で乗ってきた4人組のおばあさんには、下車駅の到着時間などを案内して「車掌さんありがとう」とほめられていました。本当に列車が好きなんだろうなあ。このまま正しいマニアとして(どんなのだ)育ってほしいと思いました。
途中駅で行き違いのため10分以上停車。外はすっかり薄暗くなっています。写真でも撮ろうかとホームに降りました。 すると、車掌さんの男の子がやってきた。仲間だと思われたみたい。 「54分に反対列車が到着しますよ。2本並んだ写真を撮ったらどうですか」(まっすぐな笑顔) 「そうなんだ、教えてくれてありがとう…」(無理やりの笑顔)
しかし、そろそろ54分が近づいても、反対列車はやって来ない。男の子のおばあさんらしき人がドアから顔を出して、「もう中に入りなさい」と促している。「まだ大丈夫だよ」と答える男の子。 ぼくも心配になって「ねえ、列車が遅れているのかも知れないよ。すぐに発車するかも知れないから、そろそろ乗ろうよ」と声をかける。 その時、青く暗い線路の向こうに、輝くヘッドライトが見えてきました。 「ね、54分にやって来たでしょう!」
列車は、無事写真を撮り終えた男の子を乗せて発車しました。終点まであと1時間!
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