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2023/08/17(木)
ひまひまドラマ日記(エルピス-希望、あるいは災い-)
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朝ドラを度々このひまひま日記で話題にしているのに、いわゆる連ドラというものは日頃ほとんど見ない…というかノーチェックなのです。 そんなわけで、昨年フジテレビ系(関西テレビ制作)で放送された『エルピス-希望、あるいは災い-』というドラマも、最近まで知りませんでした。ネットでたまたま見かけて、朝ドラ『カーネーション』の脚本家(渡辺あや)さんによる作品だと知り、これは絶対外さないだろうと思い、ネット配信で見てみました。 今は番組を見逃しても、こうしてネットで見ることができて有難い。CMが入らないのもいいと思う。テレビ局としても、たとえ視聴率が悪くても、いいものを作れば配信で回収できるのだから、メリットがあるのかも知れないな。
で、全話見てみたのですが、やっぱり外さなかった。組織の不正や不条理の中でどう振る舞うかというテーマは、おととしNHKで放送された『今ここにある危機とぼくの好感度について』と通じるものがありますが(これも面白かった)、『今ここ〜』がコメディタッチなのに対し、今作は冤罪という重い題材を描いているので、基本的にシリアスです。 モノローグによる独特なナレーションは(こんなこと言ってはなんですが、長澤まさみは『鎌倉殿の13人』よりこっちの方が断然いい!)、当然主人公視点なんだけど、物語はむしろ主人公たちを突き放すように客観的で、でも終盤へ向けてうねるように観る者をぐいぐい引き込んでいって、最後は希望を持たせて終わる…。感傷的なだけの話には終わらせないという、作者の強い意志を感じます。このあたりの特徴は、カーネーションを髣髴とさせました。
そして、ネットのインタビュー記事で見られる制作のエピソードが、ドラマ同様に面白いのです。元TBSの女性プロデューサーが、異動・退職など紆余曲折を経て6年越しでドラマを完成させる…。信頼できる人と仕事をすることが、このドラマの制作の背景にあり、そしてドラマ自体のテーマの一つであるのかも知れません。 監督は、いだてんの演出陣にも加わっていた大根仁さん(フリーの監督が大河を演出するのは異例らしい)。ちなみに助監督も、いだてんに関わっていた人で、NHKから関テレに転職してきた人とのこと。大根さんのいだてん演出回で、脚本の宮藤官九郎さんが一番描きたかったという、円生と志ん生の満州(第39回「懐かしの満州」)は印象深かったな。
話があちこち飛んでしまいましたが。渡辺あやさんには、再び朝ドラや、できれば大河ドラマも書いてもらいたいなあと思いましたが、でも、インタビューを読む限り、相当納得できる仕事以外は受けない人のようなので、たぶん無理かなあ…。大河と朝ドラ以外でもいいので、次回作を期待しています。
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